「さて、それは困るのぅ」
黙り込んだ面々の中、唯一ずっと笑みを消さなクロムかった老人が口を開いた。サプリメント マカロランだ。彼は鈍色の目をギラギラと興奮に光らせていた。先ほどまでは老人らしく腰を曲げていたにも関わらず、今は真っ直ぐとその背すじを伸ばし、かくしゃくとした雰囲気を出している。
「教会からの使ポリ ペプチド者としてお主らのような小娘と小僧が来た時は放っておけば誰か死ぬかと思ったが、思いの外やるようだ。それは困る、困るのぅ」
身の丈を遥かに超えた長い槍を彼は構えた。
「まぁわしは誰が死んでしまってもかまわん。全員死んでもらってもなぁ」
「……っ!気をつけろ!そいつは保護研究会の過激派だ!!」
マシューが叫ぶ。瞬間、雷鳴が轟いた。
「……っ」
ミモザはすぐさま防御ポリ ペプチド形態でそれを防いだ。チロの半球状の盾をつたって落雷は地面へと流れる。
雷はロランの槍の先から放たれていた。
「ジーン様!ジェーン様とええと、なんかそっちの緑の人の避難を!」
「緑の人じゃなくてマシューですけどね!?」
「マシューさん!こっちへ!」
ごちゃごちゃと騒ぎながらも、ミモザは3人を背後へとかばって立ち、ジーンはマシューとジェーンを抱えるようにして後ろへと下がらせた。しかしこの塔の出口はロランの背後である。
ロランはニヤリと笑うと懐から五角形の黒い金属板を印籠のように取り出して見せた。
「なんじゃ、気づかれておったか。ならば名乗ろう。わしは保護研究会、五角形のうちの一角、ロランじゃdha。よろしくなぁ」
「……五角形」
ミモザはつぶやく。ロランの持つ五角形の向かって左下には金色の印がつけられていた。確かステラの恋愛対象の中にもそう言った肩書を持った人間がいた気がするが、よく思い出せない。天才キャラだったような気もするが、どうだっただろうか。
「なんじゃ、気になるか?」
「……いえ、貴方みたいなのがあと4人もいるのかと思うとうんざりしただけです」
ミモザは誤魔化す。ロランもさほど気になったわけではないのだろう。槍を構え直した。
「余裕ぶっておるが、内心では焦っておるのではないか?」
「なぜですか?」
ふん、と馬鹿にしたように彼は笑う。
「先程から散々野良精霊からあいつらを庇っていたんだ。もう魔力も限界じゃろう」
「……さぁ、どうでしょう」
魔力とはゲームでいうMPのことだ。通常のRPGよろ亜鉛 の サプリしくこの世界でもMPが切れれば魔法は使えなくなる。魔法というのは先ほどロランがやってみせたように槍から雷を放ったり、ミモザが普段やっているようにメイスの棘を伸ばしたり衝撃波を放ったりというものだ。平均的なMPの量は150~200といったあたりだ。そしてゲームの中のミモザのMPは150が最大であったと記憶している。
つまり平均の下の方である。
ちなみにステラはすべてのイベントやアイテムを駆使すれば最高で400まで上がる。特に頑張らなくてもストーリーを進めるだけで300までは普通にいく仕様である。
つまり、ミモザの2倍である。
(悲しい……)
レオンハルトのMPなどは記憶にないが、どうせ化け物じみているに決まっている。
これが才能の差か…、と遠い目になっているーー、場合ではない。
また雷鳴が轟く。今度は受け止めることはせず、ぎりぎりまで引きつけてから避けた。先ほどまでミモザが立っていた地面がえぐれ、クレーターのよう亜鉛 サプリに穴が開く。
(当たれば最悪死ぬな)
これ一発でMPをどれほど消費しているのだろうか。魔法によって消費MPは異なるが、これだけ威力があれば10ほどは消費していそうだ。だいたいの魔法の消費MPは5~10くらいのものが多い。稀に30~50ほど消費するものもあるが、それは小さな町を一つ滅ぼすとか、広大な土地に結界を張るとか、大概は道具と準備を必要とするような大規模の魔法だけだ。
とはいえMPは減るばかりではなく時間経過で回復するものである。だいたい起きている時だと20~30分で1ほど回復するのが一般的である。つまりロランは先ほど休憩を挟みながらとはいえ、100匹近くの野良精霊を倒したミモザのMPがそろそろ切れることを見越して、ばかすか魔法を撃ってきているのだろう。ちなみにミモザは一回の攻撃で3~4匹ほどまとめて屠っていたりもしているので厳密にMPをどのくらい消費しているのかを計算で求めるのは至難の業である。
もちろん、相手の最大MPや現在残っているMP量を知る方法は存在する。それは女神の祝福である。最初の塔の攻略により、その能力が手に入るのだ。とはいえ実は祝福には金・銀・銅のランクがあり、それぞれにより見える範囲に違いがあ亜鉛の効果る。金であれば相手のレベル、最大MP量、MP残量の全てを見ることができるが、銀ではレベルと最大MP量だけ、といった具合にだ。ちなみに銅だとレベルも大雑把にしかわからないらしい。らしいというのは塔の試練を受けていないミモザには詳細がわからないからだ。でもゲームでは確か最初に難易度の選択が可能で、イージーでは金、ノーマルでは銀、ハードでは銅に最初の試練の塔で与えられる祝福は設定される仕様であった。
そしてゲームの中のミモザは銅であった。
つまり自動的にハードモードのゲームが開始する予定である。今のところ。
(悲しい……)
内心でぼやきながらも次々と襲いくる雷撃を避け続ける。そうしながらメイスをさりげなく地面へと叩きつけた。
「……ちっ」
ロランが舌打ちをして横へと飛ぶ。メイスからの衝撃波が地面を走りロランの足元まで亀裂を生じさせたのだ。その体勢を崩した隙を逃さずミモザは棘を伸ばした。
伸ばした棘がロランの目にささるーーと、思われた直前に彼は胴体をそらせてそれを避ける。棘は残念ながら、彼の目の下あたりを少し引っ掻くだけで終わった。
「小娘が……、狡い真似を」
悔しそうな顔を作った後で、しかし彼は再びニヤッと笑う。
「先ほどから攻撃が単調でみみっちいのう。お主、もしや属性攻撃が使えんのか?」
「はい」
間髪入れずにミモザは頷いた。
クロム属性攻撃というのはロランのしたような雷など特徴的な攻撃のことである。これは大抵の人は1つは属性を持っているものであり、2つ以上あれば天才と呼ばれる部類のものだ。つまり属性攻撃を持たないというのは『落ちこぼれ』ということである。
しかしミモザはそれがどうした、という顔をしてみせる。
(それがどうした!)
ふん、と鼻息荒く胸を逸らして見せた。
「………うん、そうか、なんかすまんかったな」
おそらく挑発しただけのつもりだったのだろう。なんか同情されてしまった。
ちなみに名誉のために言っておくがこれは半分嘘で半分本当だ。
元々ミモザは属性攻撃を持っていなかったが、狂化により一つだけ目覚めた。
しかしそれはあまり強力なものではなかったのである。
「あ、ちょっと本気で悲しくなってきた」
「まぁ、世の中そういうこともあるわい。才能とは無慈悲なものじゃ」
「同情ついでに見逃しませんか」
一応聞いてみた。
「それは無理じゃ」
即答の上で更に雷撃を叩き込まれた。ミモザは避けた。
。マカ サプリdha epaクロムの効能亜鉛
月份: 2025 年 2 月
周囲は喧騒に包まマカ
周囲は喧騒に包まれていた。まだ日が高い時刻のためゴーヤ人の往来も激しい。故郷の村では決して見ることのできない賑やかで華やdhaかな街の様子をステラは店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手の甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に輝くのを見てステラはふふふ、と満亜鉛 サプリ足そうに笑う。
「お嬢ちゃん、計算が終わったよ」
年配の店主がゆっくりと店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもね」
「わぁ!ありがとうございます!」
なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金の鍵を簡単に見つけられたし、野良亜鉛 サプリ精霊を倒すのも手間はかかるがそんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすことができる。
(ミモザは銅だったわね)
卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしら)
ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめを受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。確かに亜鉛 の サプリ同情するには十分かも知れない。
上機嫌でお金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一日で取ったのかい?」
店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルの言ゴーヤ葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理な話なんだ」
そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎはいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言のdha epa dha中で川のせせらぎだけが鳴っている。
振り返らないアベルの背中は震えていた。
「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
アベルはゆっくりと振り返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうことはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
「アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
本クロム当はわからない。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
アベルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかってくれれば!」
ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
知られるたびにこうもうるさく言われては面倒だった。
かたん、と軽い音を立てて扉を開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
ステラのことだ。
姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
軍警に届け出るというのは選択肢には最初からない。なにせ本人の自白以外に証マカ サプリ拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
しかしミモザはステラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘っちょろい報復を目論んでいたのだ。
しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。それに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第1の塔の攻略をしてきました」
結局ミモザは黙ることを選択した。
しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
ステラの行為に目をつむる。
それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
。亜鉛 サプリ亜鉛 の サプリアントシアニンアントシアニンの効果
テーブルの上でサプリメント マカ
テーブルの上では燭台の橙色の柔らかい灯りと暖色系ポリ ペプチドでまとめらアントシアニンの効果れた花が水差しへと生けられて穏やかな晩餐会を彩っていた。
さて、ミモザという少女がレオンハルト邸を訪れて数日が過ぎようとしていた。今までほとんど来客がなく一人しか卓を囲むことのなかったテーブルに二人の人物が腰掛けるようゴーヤになって数日、マーサは今だに不思議な気持ちでその光景を眺めていた。
テーブルを囲って初日、少女は神妙な顔をして挙手した。いわく「テーブルマナーがわかりません」。
主は一瞬虚を突かれたような顔をした後、「礼儀作法の教師を雇おう」と告げてその会話を終わらせた。恐縮する少女に「今後弟子として同行してもらうことが増える。その際にマナーがわからないようでは俺が恥をかく」と言い置いて。
アントシアニンの効果 二人の間の会話は決して多くない。まぁ、『レオンハルトとの会話量』としては少女はぶっちぎりで多いのだが、一般的なものと比べると少ない方である。しかし二人の間に流れる空気は気安く、とても穏やかなものだった。
これまでは食事などただの作業だと言わんばかりの速度でマナーは守りつつ食事をさっさとかき込んでいた主人が、今は少女のたどたどしいゆっくりとしたペースに合わせて食べている。気にしていない風に特に何を言うでもないが、同時に食べ終わるようにワインや水を頻繁に口に運んでみたりゆっくりと咀嚼したりと無言で工夫を凝らしているdha epa様子は見ていて微笑ましい。そして少女がどのくらい食べ進んだのかを確認する際に彼女がその視線に気づいてにこりと小さく微笑むと、彼は困ったように苦笑を返すのだった。
ミモザが訪れてまだ数日であるが、これまでただ重苦しく張り詰めていた屋敷の空気が柔らかいものへと変わりつつあった。
(何よりも旦那様の機嫌が良い)
うんうん、とマーサは上機嫌で頷く。機嫌が良いのはいいことだ。それだけで職場の雰囲気が格段に向上する。よしんば機嫌が悪くともミモザと話していれば今までよりも遥かに短い時間で直るのだ。これには感謝の言葉しかない。
「ずっと居てくれればいいですよねぇ」
マーサの内面を代弁するように、一緒に廊下の掃除をしていたロジェが言った。燃えるような赤い髪にブラウンの瞳を持つ彼女は古株だらけのこの屋敷に置いて貴重な若者だ。ぴちぴちの20代のdha epa dha彼女は、彼女いわく「ぞっこんなダーリン」がおり、レオンハルトへ秋波を送ることのない貴重な人材であった。
「ひと月しかいないみたいだねぇ」
残念に思いため息を吐く。
「えー、延ばさないんですかねぇ、延長、延長!」
「そんなことできるわけがないだろ。まぁ、また来てくれるのを祈るしかないねぇ」
たしなめつつも「はぁ」とため息が出る。一度良い環境を味わってしまうとこれまでの状態に戻るのが憂鬱でならない。
その時可愛らしい鼻歌が聞こえてきた。鈴を転がしたようなその明るい声は、ここ数日で聴き慣れたものだ。そちらを向くと廊下の曲がり角から予想通りの人物が姿を現すところだった。
「ミモザ様ぁ、おはようございますぅ」
ロジェがぶんぶんと手を振って挨拶する。孤児院育ちの彼女は少々お行儀の悪いところがあった。
その声に少女は両手いっぱいに花を抱えて振り向いた。金糸の髪がさらりと流れ、青い瞳が優しげに微笑む。
「おはようございます。ロジェさん、マーサさん」
その可ゴーヤ チャンプルー愛らしい救世主の姿にマーサとロジェはほっこりと微笑んだ。
「毎朝せいが出ますねえ」
手に持つ花束を示して言うと、彼女はああ、と頷いた。
「暇ですからね、わりと」
これも彼女が来てからの変化だ。殺風景で飾り気のなかった屋敷に彼女は庭から摘んだ花を飾って歩く。最初は食卓の一輪挿しからじわじわと始まり、気づけば廊下から執務室までありとあらゆる場所へとそれは入り込んでいた。
屋敷に勤める女性陣には大好評である。これまでそういったことをしたくても出来なかったのだ。主人に直談判する勇気が誰もなかったからである。しかし彼女は違う。ミモザはこれまで誰もなし得なかったことを何かのついでにひょいと「花飾っていいですか?」と聞いてあっさり許可をもらった猛者である。
「ミモザ様はぁ、お花がお好きなんですかぁ?」
ロジェがにこにこと訊ねる。それにミモザは「いやぁ、特にそういうわけでは」と意外な返事を返した。
「そうなんですかぁ?てっきり毎朝飾られているのでお好きなのかとぉ」
「そうですね。これは好き嫌いというよりは……」
真剣な顔で彼女は言った。
「お花を飾ると家の運気が上がるので」
「運気」
ゴーヤ「はい。運気です」
曇りなきまなこである。
(まぁ、ちょっとオカルト?が好きな子みたいよねー)
別に害はないのでマーサとしてはどうでもよかった。
「あのぅ、実はお願いがあるのですが」
ミモザはちょっと困ったように言う。屋敷を訪れてすぐの無表情はなりを潜めている。緊張していたのだとは本人の談だが緊張しているのが周囲に見た目で伝わらないのはなかなかに損な性分だなと思う。
「どうしたんだい?」
ミモザはもじもじと恥ずかしがりつつ「今日、レオン様は外出らしくて……」と言った。
「一緒に昼食をとってもいいでしょうか?」
彼女の位置付けは微妙だ。お客様ではないが使用人でもない。主人の弟子として修行をし、家庭教師などから教育を受けているが、使用人としての仕事も少しこなしている。
つまり彼女の「仕事の先輩方と仲良くしたい」という希望は的外れではないが、おかしな話でもある。
「ーで、連れてきたのか」
「まぁ、断る理由がなくてねぇ」
不機嫌そうにジェイドが言うのにマーサは肩をすくめた。
「ふん、まぁいい、わたしは知らん」
ふん、と顔をそらして使用人の控室であり、食事を取るテーブルの一番隅へとジェイドは腰掛ける。手にはもう昼食のプレートを持っていた。
そこにミモザが昼食のプレートを持って現れた。彼女はキョロキョロと室内を見渡すとジェイドのちょうど正面の席へと腰を落ち着けた。
「なんでここに座る!?」
ぎょっとしdha epa dhaたようにジェイドが立ち上がる。
「え?」
ミモザは不思議そうだ。
「またやってら」
庭師のティムが呆れたようにそれを見てぼやいた。
そう、何故だかミモザは蛙男ことジェイドに非常に懐いていた。
「席は他にいくらでも空いとろーが!!」
ミモザはきょとんと「そうですね」と頷く。
「なら!何故!ここに座る!」
「すみません、誰かの指定席でしたか」
しぶしぶと立ち上がるのにロジェが「指定席とかないからぁ、大丈夫よぉ」と教えてあげる。その言葉に彼女はきょとん、としてから再び腰を下ろした。
「座るな!」
「でも誰の席でもないと…」
「わたしが嫌なんだ!!」
「何故ですか?」
首をひねるミモザに、ジェイドはびしっと指を突きつけた。
「いいか、わたしはな!顔のいい奴が大っ嫌いなんだ!」
非常に大人げない理由だった。
「ジェイドさん」
ジェイドのその言葉にミモザは珍しく少しむっとした表情になる。
「な、なんだ」
自分からふっかけておいてジェイドは怯む。その顔をじっと見つめながらミモザは「僕、そういうのはよくないと思います」と唇を尖らせた。
「はぁ?なんだと?」
「人の容姿をどうこう言うのは不謹慎です」
「褒めてるんだろうが!」
「でもジェイドさんはマイナスの意味でそう言っています」
その指摘にジェイドはうっと言葉を詰まらせる。
「褒めてません」
「うっ」
じぃっと恨みがましい目で見られるのに彼はたじろいだ。
「ミモザ様はぁ、なんでジェイドさん好きなのぉ?」
ロジェが助け舟を出す。ミモザの視線はロジェへと移った。
「優しいからです」
「はぁ?優しくした覚えなど!」
しかし返された答マカえにジェイドは思わずといった様子で声を上げた。再びミモザの視線がジェイドへと戻り、ジェイドは嫌そうに身を引く。
「確かにジェイドさんは大きな声を出します。でも理不尽な暴力を振るったりはしません」
「当たり前だろうが!」
「当たり前ではありません」
そこでミモザは憂鬱そうに目を伏せた。
「嫌そうな態度は取ります、けれど僕の人格を否定するようなことは言いません。面倒だとは言います、しかし要領の悪い僕に何度も根気強く仕事を教えてくれます。あなたは優しい。だから……」
顔を上げる。冬の湖のような静かな瞳がジェイドを見つめた。
「だから僕がつけあがるんです」
「つけあがるな!」
ジェイドはふーふー、と肩で息をする。それを見つめつつ彼女は説明が足りなかったと思ったのか、考え考え言葉をつけたした。
「僕、修行を始めてからマッチョになりました。そのおかげで少し自信がつきました。僕はこれまで、何も言いませんでした。ずっと何も思ったことを言わず、そのくせ周りに期待をしていました。察して欲しいと、自分は何も行動しないくせに」
そこまで言って、「んー」とまた言葉を探す。
「だからこれからは、少しずつ思ったことを言おうと思ってます。僕は、貴方が好きです。人間として、仕事の先輩として、尊敬しています」
「わたしはお前が嫌いだ!」
ジェイドの喚くような返答に、ミモザの表情は変わらなかった。ただ無表情に、ジェイドを見つめている。
それにちっ、とジェイドは舌打ちをした。
「お前、そう言う時は落ち込んだそぶりで涙でも流してみろ。それだけでお前の容姿なら同情が引ける。不器用な奴め」
そう言い捨てるとそのまま席について食事を始めた。
「一緒に食事をしてもいいですか?」
「好きにしろ、お前がどこで食べようとわたしは知らん」
にこ、とミモザは笑った。
「僕ジェイドさんはツンデレだと思亜鉛うんですけどどうですかね」
「ツンデレが何かは知らんがろくでもないことを言ってるだろうお前!なんでも素直に口にすればいいと思うなよ、小娘!」
えへ、とミモザは花が綻ぶように笑った。
。マカ サプリdha epadhadha epa dha
その後は仕亜鉛
その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルト亜鉛とアズレンの会話を聞くのみであdha epa dhaった。話題にはやはり野良精霊の異常増殖と狂化の件がのぼったが、現在は小康状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明である亜鉛 の サプリこと、そして人為的に引き起こされていることは状況証拠的にほぼ確定であることがやり取りの中で明かされた。
最後に「では期待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人のゴーヤ間には今、
「……えっと、お食事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
微妙な空気が流れていた。
原因は明白だ。
(好みのタイプ聞かれてとっさにレオン様の名前出しちゃったからなぁ)
ミモザはぼんやりと斜め上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)アントシアニンの効果
謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそのこと一発殴ってくれたほうが謝りやすいまである。
「ええっと、」
「君は」
そこでやっとレオンハルトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げる。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなゴーヤ チャンプルーことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
強い口調に身をすくめる。ちらりと彼を見るとその目は据わっていた。
「それは、やめなさい」
「……はい」
「俺でいい」
ふい、とまた顔ごと背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名は、俺でいい」
「……わかりました」
本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
レオンハルトからグラスdha epa dhaを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思いついたように足を止め振り返ると「筋肉とか胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
極めて遺憾である。
「ねぇ、あなた」
レオンハルトがお手洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
。ゴーヤdhaアントシアニン
最初に奪われマカ サプリ
最初に奪われたアントシアニンの効果のは髪だった。
双子ゆえに全くの瓜二つだったミモザとステラを見分アントシアニンの効果けるために髪型を変えてはどうかと最初に言い出したのは一体誰だったか。当時幼かったミモザにはさっぱり思い出せないが、大声で泣き喚いて「絶対に髪を切りたくない」と騒ぐ姉を前に、母が困dha epaったように笑い「ミモザはどう?」と聞かれてただ頷くことしかできなかったことは今でも鮮やかに思い出せる。
次は色だ。
可愛いオレンジ色のワンピース。お気に入りだったのにいつの頃からかそれはステラのものということになっていた。双子ゆえに服はいつもシェアだった。髪を切る前まではミモザもピンクや黄色、赤といった明るい色をよく着ていたのにいつの頃からかミモザがその色の服を着ているポリ ペプチドとそれは奇妙なことだと思われるようになった。「お姉ちゃんの真似をしているの?」と聞かれることやステラにはっきりと「それはわたしのだよ、ミモザはこっち」と黒い服を渡されたこともある。
その派生で可愛らしい装飾のついたものも奪われた。
フリルやレースのついたものは当たり前のようにステラにあてがわれた。ミモザに与えられるのはシンプルなものやズボンばかり。いつのまにかミモザはボーイッシュな女の子に仕立て上げられていた。
その頃にはミモザはもう何も言えなくなってしまっていた。もともと姉よりもマカ大人しく引っ込み思案な子どもだった。けれど自分も可愛い格好がしたいと勇気を振り絞って訴えても実際に着てみても、微妙な顔で笑われたり「お姉ちゃんの真似」と言われたりするたびに、もはや何もしたくなくなってしまっていた。
姉に言ってもそれこそ暖簾に腕押しだ。虚しいばかりで得るものは何もない。
どんどん口が重たくなるミモザに友人達は離れていってしまった。そうしてステラはミモザに言うのだ。
「大丈夫よ、ミモザ。ミモザももっと頑張れば、絶対お姉ちゃんみたいになれるから」
一体誰がステラみたいになりたいだなんて一度でも言ったというのか。
周囲も言う。
「いつかミモザもステラみたいに明るく話せるようになれればいいね」
ミモザはステラになど憧れてはいない。
きっとその周囲の言葉にミモザ亜鉛も笑って「そうだね、いつかステラみたいになりたいな」と返せればよかった。そうすれば周りは納得したのだろう。
けれどミモザは頷けなかったのだ。
*
ミモザは愕然とした。
それはなけなしの勇気を振り絞って「僕、いじめられてるんだ」と告白したミモザに彼女の美しい双子の姉が「あら、そんな強い言葉を使うものじゃないわ、ミモザ。きっと気のせいよ。大丈夫、お姉ちゃんがちゃんと仲直りさせてあげるからね」などとなんとも天然を通り越した唐変木な返事を返したからーーではない。
(頭がちかちかする)
豊かなハニーブロンドの髪に青い瞳をした、まるでビスクドールのように美しい少女が目の前にいる。
「ミモザ?」
学校へと向かう通学路。ミモザが立ち止まったことに姉が怪訝そうに振り返る。
その姿は一枚の絵画のように美しく、薔薇色に上気した頬は少女らしいあどけなさを宿して愛らしい。
姉、いやちがう、彼女はステラ。いや、そうだ、ステラは確かにミモザの姉だ。なんでもミモザよりも上手亜鉛 サプリにできる姉。人気者の姉。わがままで気まぐれで、しかしそれすらも魅力的な少女。
(そしてこの世界の主人公)
心配そうにこちらを覗き込む瞳の中に、目の前の少女と髪型以外は瓜二つのショートカットの少女が映る。
「…それってなんて地獄?」
「え?」
鏡写しのようにそっくりな2人の少女は立ち止まって見つめ合った。
1人は怪訝そうに、けれど微笑んで。
もう1人は絶望に真っ青に顔を染めて。
それはミモザが自分がこの世界の主人公である姉『ステラ』の引き立て役である『出来の悪い双子の妹』であることを思い出してしまった瞬間であった。
この世界は女性向けの恋愛要素ありのrpgゲームである。
いきなり降って湧いた記憶の中でミモザは1人の女だった。年齢も立場もわからない。わかるのは性別とおそらく成人しているであろうという朧げな記憶だけだ。
それとゲームが大好きでいろいろなゲームに手を出していたということだけ。
ゲームのタイトルも思い出せない。ストーリーも展開も朧げだが、はっきりとわかることもある。
このゲームの世界の人間は皆、守護精霊と共に生まれる。自身の分身である守護精霊はなんゴーヤ チャンプルーらかの動物に近い姿を取り、そして自身の生まれ持った性質や精神面の成長によってその姿や能力が変化する仕様である。
しかしたいていのものは物心がつく年齢にはその姿が定まり、能力も15歳ごろには完全に固定化されていく。
そして主人公の生まれ故郷であるアゼリア王国では精霊騎士と呼ばれる花形職業があり、主人公はその精霊騎士を目指して奮闘していくのである。
本来なら精霊騎士になるためには7つの塔の試練を受け、王都で開かれる大会に出場しそこで精霊騎士としてのランクとともに資格を授けられるのだが、もちろん、このゲームの世界でなんの面白みもなく試験が進むわけもなく、悪役の妨害や事件が起こる。
大きな事件としては野良精霊の暴走が起き、主人公であるステラは恋愛対象であるキャラ達とともにそれを鎮め、神聖であり最強を意味する『聖騎士』の称号を賜ることになる。
ちなみに主人公の前任の聖騎士も存在するが、物語の終盤あたりで主人公達を庇って死んでしまう。記憶によるとゲームの2周目ではその聖騎士ルートも解放されるという話があるらしいがミモザには全く思い出せなかった。
がらりと音を立てて教室のドアを開ける。
クラスのみんなは一瞬ちらりと視線をよこしたが、それがミモザであるのを確認するとすぐに視線を戻しそポリ ペプチドれぞれの会話へと戻った。
シカトである。
ミモザははぁ、と半眼でため息をつくとのろのろと教室の自分の席へと着く。
ーーそして『ミモザ』は小さな妨害であり、主人公に付きまといその試練をことごとく邪魔して回るという嫌がらせキャラであり、主人公の優秀さを際立たせるためにことごとく試練に失敗するという当て馬キャラでもあった。
机の引き出しを開くと真っ赤なペンか何かで悪口が書かれた紙切れと刃物、ガラスの破片がバラバラと出てきた。
ちらり、とショートカットの割には長めの前髪に隠して視線を周囲に走らせる。
(……あいつだな)
気づいていないふりをしながらもミモザの引き出しから落ちたゴミを見てにやにやと笑う奴がいた。
このクラスのガキ大将でありイジメの主犯、アベルである。
短い藍色の髪に切長の目をしたなかなかに整った容貌をした少年は、なんとステラの恋愛候補キャラのうちの1人でありゲームのスタート時の15歳にはちょっと生意気だが共に精霊騎士を目指す幼馴染として善良ぶって登場したりする。
ゲームの中のミモザは闇堕ちをしていてステラや幼馴染達に執拗に嫌がらせを繰り返していた。
ミモザはぎゅっと握り拳を作る。
そうして天を降り仰いだ。
(いや、そりゃそうだろ!)
拳を机に叩きつけたい衝動をぐっと堪える。
ゲームをしていただけの前世のミモザにはその理由がわからなかったが、『ミモザ』として約12年間生きてきた今の彼女にはその理由がものすごくよくわかる。
悪質ないじめ、優秀なポリ ペプチド姉と比較されて貶される日々、おまけに善良だが無神経な姉になけなしの勇気をもって助けを求めて返ってきた言葉が「きっと気のせいよ」である。「仲直りさせてあげる」である!
いやこれは気のせいじゃねぇよ、と目の前に積み上げられた罵声の書かれたゴミと危険物を前にほとほと呆れる。
仲違いしてんじゃねぇんだよ、一方的に暴行を受けてんだよ、こっちは。
欲しいのは仲直りではなく謝罪と今後一切の不可侵条約である。
ぐぎぎぎぎ、とミモザは主人公そっくりの愛らしい顔を歪めて歯軋りをした。
俯いているため長い前髪に隠されて見えないがその形相はさながら悪鬼そのものである。
その勢いで人も呪い殺せそうだ。
しかしその勢いでアベルに怒鳴りつけるなどという行為は彼女には到底できないのであった。
前世ともいうべき記憶を思い出したものの、どうやらミモザの人格はミモザのままだ。多少自身を客観視できているような気もするが、それでも与えられた恨みつらみはそのままであり性格はまごうことなき小心者のままである。
何もやり返すことのできない自分に歯噛みしつつ、ふと机の上に目を向けるとそこには白い鼠の姿をしたミモザの守護精霊、チロがその気持ちに同意するようにうんうんと頷いていた。
「チロ……っ」
(心の友よっ!)
ミモザは歓喜した。そうだ、自分にはチロがいるのだ。決して1人ではない。
例え相手が自分の分身というか半身であろうが1人ではないのだ。
1人ではないと思い込めば1人ではないのだ。
「チィー!」
チロが鳴く。
その目は紅く不気味に輝き『この教室にいる奴ら全員ぶっ殺してやろうぜ!』と言っていた。
「いやダメだろ!」
思わず真っ青になって立ち上がる。途端にクマカ サプリラス中の人の視線がミモザに突き刺さった。
「……ひっ」
気分はさながら蛇に睨まれた蛙である。顔どころが全身から血の気を引かせて周囲にある机や椅子にぶつかりひっかかりながらも、なんとかほうほうのていでミモザは教室から逃げ出した。
もはや授業などどうでも良かった。
悲報、自らの半身がすでに闇堕ちしてるっぽい。
この世界では闇堕ちした場合にはある外見的特徴が現れる。
一つは体から滲み出る魔力のオーラ。通常白く輝くはずのこれに黒い塵のようなものが混ざる。
そしてもう一つが紅く輝く瞳である。
この世界には紅い瞳の生物は存在しない。
そう、闇堕ちーー狂化と呼ばれる現象を起こした生物以外には。
さて、では改めてミモザの守護精霊であるチロを確認してみよう。
白く輝く毛並みに大きな耳。きゅるりとした本来なら可愛らしいはずの瞳は紅く輝き爛々と光っていた。小柄な体からはどす黒い塵のようなオーラが煌々と放たれている。
「チチィー」
鳴く声はどすがきいていていつもよりすごみがあった。
『なぜあいつらに報復しないのか?』その瞳はそう不思議そうに問いかけてきていた。
「………」
ミモザが閉口していると、ふいにめきょめきょと音を立てて『彼女』の背中が盛り上がり、それまでただの毛であった部分が鋭い棘となった。
その姿はただの鼠から立派な針鼠へと変化している。
闇堕ちしている、確実に。
(いや、いつから?)
少なくとも朝家を出た時はいつも通りだったはずだ。
(ということはー…)
先ほどの前世のものと思しき記憶。それを思い出したことによりチロの闇堕ちが本来より早まったのではないか。
(最悪だ)
普通こういう記憶を取り戻した場合は良い変化が起こるものなのではないのだろうか。ミモザの主観としてはゲームの設定よりも状況が悪化しているように思えてならない。
ミモザは両手にチロを乗せると恐る恐る問いかけた。
「チ、チロゴーヤさん、ちょっと確認なんだけど」
「チチ」
「報復って具体的には」
「チ、」
チロはニヒルに微笑むとピッとサムズアップをしーー
「チチィ!」
それを勢いよく下に向けた。
「ダメだぁ!」
チロの殺意がとどまるところを知らない。
「そんなことしたら僕たち破滅しちゃうだろ!」
ミモザは半泣きで訴える。
そう、破滅。
『ミモザ』は物語の中盤であっさりと死ぬ役どころなのだった。
死因はまったく思い出せないが、きっと主人公に嫌がらせをした関係のあれやこれやに決まっている。
「いいか、チロ。僕たちにはアドバンテージがある」
言い聞かせるミモザにチロは同意するようにうんうんと頷く。
「まだあの『記憶』の信憑性はわからないけど、すさまじく現状とリンクしていることは確かだ。きっとこのまま何も考えずに進んでいれば、あの未来は起きかねないし僕は闇に呑まれて嫌がらせを繰り返すことになる可能性が高い」
というか確実にする。
現にチロは闇に呑まれかけているし、動機だけならことかかない。実際度胸があれば今だってやり返してやりたくてたまらない。
(けどできない!)
度胸がないからである。
大事なことだからもう一度。
度胸がない小心者だからである!
「つまり、今の僕たちがまずすべきこと、それはー」
ミモザは懐から一冊の本を取り出した。
そこに書かれたタイトルはずばり『初心者にもできる!呪術入門!』。
「彼らに不幸が訪れるように呪うことだ!」
その本をまるで救世主かのようにかかげてみせるミモザをチロは白けた目で見た。
そして針で刺した。
「いった!いたたたたた!痛い!やめて!」
「チゥー」
野太い声で恫喝するようにチロは告げる。
ふざけるな、と。
「いや別にふざけてないし僕は本気で、あ、ごめんなさい、痛い!ほんと痛いから!」
針で刺すだけでは飽き足らず噛みつき始めたチロにミモザは慌てて取り出した本を懐へと戻した。
「……さて、とりあえずどうしようかな!」
仕切り直しだ。チロが怒るので改めて考え始める。正直先ほどの案がミモザのできる最善策だと思うのだが、それを言うとチロがまた怒ってしまうのが明クロムの効能白なので黙って考えを改める。
「どう、したいかな」
思案するように呟く。
これからの行動を考える上で、それがおそらく一番重要だ。
このままゲームの通りにいけば破滅。けれどじゃあ報復もせずにただ指を咥えて黙って見ているのか。
(いじめっ子と妬ましい姉がなんの苦労もなく英雄になっていく様を?)
「僕はこのままは嫌だ」
チロを見る。彼女も同意するように頷いていた。
それは嫌だった。
(我ながら、性格が悪い)
嫌いな人達がより幸せになっていく様を見たくないだなんて。
その時、ふとゲームの中の一場面を思い出した。それはゲームの中で唯一ミモザが褒められるシーンだ。
『君は精霊との親和性が非常に高いのだね。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。大事にするといい』
姉のステラが聖騎士になる前の前任者、つまり現在の聖騎士である人がミモザのことをそう褒めるのだ。
のちにこの『精霊との親和性』というのは精霊とのつながりが深いという意味であり、勿論高ければ高いほど精霊騎士としての強さにつながるが、その一方で精霊が狂化してしまった際にその影響を非常に受けやすく、暴走しやすいというブラフだったことが明かされるのだがそれはそれとして。
ミモザがゲーム内で唯一評価されたのは『精霊騎士としての才能』であったのだ。
チロとの親和性。それだけは現状の最高峰である聖騎士に認められるほど高いのである。
その他はコミュニケーション能力も頭脳も他の諸々の何もかもが姉には敵わない。
チロとの信頼関係、それだけがミモザの財産でよすがだ。
「……奪ってやろうか」
それが例え一つだけでも。
友人も恋人も英雄の称号も他の何も奪えなくても。
精霊騎士としての強さ、それだけは。
「お姉ちゃんより強くなって、面子潰してやろうか」
一度だけでもいい。いやどうせなら、
「聖騎士の立場、もらおうか」
ミモザのその思い詰めたような仄暗い囁きに、チロは目を紅色にギラギラと光らせ一声鳴いた。
それは紛れもない同意の声だった。
。クロムdha epaゴーヤ チャンプルーゴーヤポリ ペプチド
それは修行後のゴーヤ
それは修行マカ サプリ後のお茶の時間が常習化し、ミモザがレオンハルトのことを愛称で呼ぶことが許ゴーヤ チャンプルーされるようになった頃に起こった。
「あ、」
「どうした?」
問いかけるレオンハルトにミモザは困った顔をする。
「ランチボックスを忘れてきました」
時刻はちょうどお昼時である。昼食ゴーヤ チャンプルーの時間をまたぐことがあらかじめわかっていたため用意していたのに、その肝心のランチボックスを丸ごと家に置いてきてしまったのだ。
「仕方がないな。今日は適当にどこかで買うか、外食でもするか」
頭を掻きながらレオンハルトは提案する。以前の彼ならここは「なら帰るか」となりそうな流れだが、習慣を変えたくない性質なのか、それともミモザとのお茶会もとい食事会にそれなりに意味を見出していクロムの効能るのか判断に悩むところだ。
「いいですよ、すぐに取ってきます。せっかく作ったのにもったいないですし、それに……」
「それに?」
ミモザは気まずそうに目をそらした。
「この村、田舎なので外食する店ないです」
悲しい事実だった。しかしレオンハルトは気に留めた風もなく「王都に行けばいいだろう」などと軽く言う。
「いや、遠いじゃないですか」
「レーヴェに乗っていけば1時間てところだな」
「え?」
思わず驚いてレーヴェを見る。彼は自慢げに胸をそらし、翼を広げてみせた。
「近くないですか?確か半日ほどかかると思っていたのですが」
「それは街道を通った場合だなクロム」
「……そんなに差がでるんですか?」
「まずこの村から主要な街道に出るまでに10時間ほどかかる」
「………」
「そこから街道を4時間と言ったところか」
「なんでそんなに街道まで遠いんですか」
「この村に何も特産品も需要もないからだな」
そのレオンハルトの返答にミモザはうっ、と言葉に詰まる。
「世知辛い話ですね」
結局それしか言葉を絞り出せなかった。
「まぁ、街道一本通すのに莫大な資金と人手がいるからな。必要のない村を通すより王都に有益な場所を経由するように道を作るのは当然だろう」
「世知辛い話ですねぇ」
そして無情だ。
どこの世界でも需要の少ない田舎は冷遇されがちらしい。
「まぁ、でも取ってきますよ。僕の家まで1時間かからないので」
立ち上がりかけたレオンハルトを制してミモザは「すぐ戻るので待っていてください」とお願dha epa dhaいした。
母や姉とレオンハルトが鉢合わせると厄介だからである。
*
「はぁっはぁっはぁっ」
ミモザは息を切らして走っていた。手には先ほど家から持ってきたランチボックスを抱えている。そのせいでいつもよりも走る速度は落ちていた。
「おい、待てよ!ミモザ!!」
背後から石が飛んできてミモザの頭に当たる。大した大きさではないが、勢いがあり普通に痛い。
バタバタと4人分の足音がずっと背後をついてきている。
「てめぇ!ふざけんなよ!逃げるな!!」
いきりたって怒鳴っているのは当然、アベルであった。
家にランチボックスを取りに行くところまでは良かった。母はまだ帰っていないのかミモザが用意した母親の分のサンドイッチはまだ冷蔵庫の中に残されていた。ミモザはその隣に置かれたランチボックスを持って外へと出た。
そして出会ってしまったのである。
下校途中のアベルとその取り巻き3人に。
(迂闊だった)
ミモザは不登校になってから徹底的に姉やアベル達と生活サイクルを変えて生活している。
学校の授業が始まる時間に起き出し、授業中に外出を済まし、下校以降は家の外アントシアニンには出ない。
すべてはこの狭い村でアベル達にうっかり鉢合わせないためである。
しかし失念していたのだ。
もうすぐ秋休みだったということを。
秋は実りの季節である。そしてこのような田舎の村では子どもも立派な戦力だ。そのため小麦や稲を植える時期と収穫の時期は学校は長期休みに入る。手伝いをするためだ。そして秋休みに入る前日は午前授業となる。
今日がその午前授業の日だった。
そしてミモザは追いかけられる羽目になったのだ。
。ゴーヤ亜鉛 の サプリマカ と は
そこには美しdha epa
そこには美しい麗人が立って亜鉛 の サプリいた。
背中クロムの効能まで真っ直ぐと伸びる銀の髪に月光を集めたかのように輝くやや吊り目がちな銀の瞳、その身に真っ黒な軍服を纏う彼女は確かに美人だった。
そして巨乳でもあった。
ぽかん、とミモザは口を開けたまま固まる。そんな亜鉛ミモザに彼女は再度にこりと笑いかけた。
「好きかしら?」
その凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくと頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
ついでに言うと双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったりする。つまりミモザはdha epa胸の大きさでもステラに負けている。
(悲しい……)
ずんと暗い表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるように両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むと、ずりずりと自分の元へと引きずり寄せた。
「人の弟子をくだらない方法でdha epa dha勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
じろりとその女性をにらむ。
「あらん、貴方のことだから弟子なんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒い瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
年齢はミモザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくdha epa dhaらいの爽やかさだ。
しばらく待ってみたが両者の睨み合いが終わる気配がなかったため、ミモザは少し考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
「誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いやぁ、元気なのはいいことですね」
不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでdha epaしょうか?」
紫がかった黒髪をオールバックに撫でつけ、すみれ色の瞳をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。
「報告は以上です」
ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」
(ううっ)
思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)
ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しかしその原因を取り除いていたかまでは定かではない。
(もしかして、3年経っdha epaても解決しない可能性がある?)
だとすればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルト様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者の進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団に行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団アントシアニンはその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民は教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているのは知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんの位にするか貴族達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
ミモザのような一般庶民にはなんとも理亜鉛 サプリ解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さない独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体ではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
。ゴーヤdha epa dha亜鉛 の サプリポリ ペプチド
大人の登場サプリメント マカ
大人の登場にそクロムの効能の場に緊張が走った。
「一体誰だ?お前ら全員か?あん?」
よりにもよってクロムの効能ガラの悪い人の家だった。
しかし状況が変わったのは確かだ。ミモザは助けを求めようと家主の男に話しかけようとしてーー
「こいつだ!!」
「……え?」
アベルが指さしていた。ミモザのことを。
「こいつが割ったんだ!俺たちは関係ない!!」
「……っ!!」
確かゴーヤ チャンプルーにガラスを割ったのはミモザだ。しかしそれはアベル達に追われていたからだという言い訳は、家主の男には関係ない話だろう。
(どうしよう)
どうしたらいいか頭がまったく回らず汗が全身から噴き出す。ここで窓ガラスを割ったのがミモザだと素直に認めたらどうなるだろうか。男には怒られるがアベル達からは逃れられる?しかしまた同じ目にあわないとはとても言えない。可能であればここでアベル達はもう一度咎められてほしい。バレなければいじめて構わクロムの効能ないという成功体験を積み重ねさせるのは悪手だ。しかしどうしたらいいかがわからない。
ミモザにはどうしたらいいかがわからない。
「お前……」
ミモザはその声に身をすくめた。
家主の男は険しい顔でミモザのことを見つめ、手をーー、
「待ちなさい」
鋭い声と共にその手は制止された。
「俺はすべてを見ていたぞ」
そう言って現れたのは
「レオン様……」
レオンハルトだった。
「言うべきことがあるのではないか?」
風になびく波打つ藍色の長髪、金色に輝く左目。
長身の美丈夫が皆を睥睨するように腕組みをして言った。
「兄貴!!」
アベルは思わぬ加勢に目を輝かせる。ミモザは反対に顔を俯かせた。
すべてを見ていたマカぞ、とレオンハルトは言った。
ミモザが窓ガラスを割っているのを見たからそのように言ったのだろう。まして相手はレオンハルトの弟である。
(終わった……)
いかにミモザがレオンハルトの弟子とは言えど、せいぜい半年の付き合いである。レオンハルトが弟のことを可愛がりこの村に訪れているのは有名な話だった。
どちらの肩を持つかなど火を見るよりも明らかだ。
「なぁ、兄貴!わかるだろ!窓ガラスを割ったのはこいつだ!俺は悪くねぇ!」
喜色満面でアベルは兄に近づきその腕に触ろうとしてーー、その手を振り払われた。
「……え?」
見上げたレオンハルトの顔は、険しい。
「嘘をつくな」
誰もが耳を疑うような言葉を、彼は重々しく告げた。
「俺はすべてを見ていたと言ったはずだ。誤ちは自身で認めなさい」
「あ、兄貴?見てたならわかるだろ?俺は本当に……」
「嘘をつくなと言ってい亜鉛の効果るだろう!」
けして怒鳴っているわけではないのに怒鳴りつけられたような迫力をもって彼は告げる。
「お前達4人はその子を追いかけ回して石を投げつけていたな」
「……えっと」
予想外の展開にミモザはぽかんと間抜けに彼を見上げてしまう。
「その投げたうちの一つがこの窓ガラスに当たったんだ」
「ち、違う!」
「何が違う?」
ゆっくりとレオンハルトはミモザへと近づくと、ミモザの顔を見て眉をひそめた。そっと割れ物にでも触るように手を伸ばすと傷口へと触れる。
「……っ」
「痛むだろう。すまなかった。駆けつけるのが遅くなった」
そして今度は立ち上がると窓ガラスを割られた家主へと深々と頭を下げる。
「俺の愚弟が大変な失礼を致しました。こちらの窓ガラスは弁償させていただきます。大変申し訳ありませんでした」
「あ、ああ、まぁ、弁償してくれんなら俺はいいけどよ」
「後日修理にかかった金額を伝えてくだされば払いますので」
もう一度丁寧に「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる。
「違う!なんで兄貴が頭を下げんだよ!!」
それに不満を唱えたのはアベルだ亜鉛 サプリ おすすめ。しかしそんな弟のことをぎろりと睨むと「お前が頭を下げないからだろう」とレオンハルトは言った。
「お前もきちんと謝罪しなさい」
「違う!俺は悪くない!!」
「ではきちんと説明しなさい」
アベルの喚き声はぴしゃりと跳ね除けられる。
「お前は確かにその子に石を投げつけて追いかけ回していた。俺は確かにそれを見た。それを間違いだというのならきちんと筋を通して説明しろ。できないだろう」
「た、確かに投げたよ、投げた!でもそれはそいつに向かってであって、窓ガラスは割ってない!割ったのはこいつなんだよ!」
アベルの主張にレオンハルトはため息をつく。
「なぜこの子が窓ガラスを割る必要があるんだ」
「……そ、それは」
「逃げていたその子が窓ガラスを割ったと考えるより、石を投げていたお前らが割ったと考えるほうが自然だ。そうだろう?お前の言葉にはなんの説得力もない」
「でも本当に、本当なんだ。割ったのはこいつなんだ」
「よしんば窓ガラスを割ったのがその子だったとして、この子によってたかって石を投げつけていたのは事実なのだろう?」
アベルが見上げた先には氷のように冷たい目をした兄がいた。
「軽蔑されるには充分な行いだとは思わないのか?」
「……っ、おマカ、俺は」
「なんだ?正当な理由があるなら言ってみろ。一体どんな理由があったら女の子1人に4人でよってたかって石を投げつける正当性があるのか俺には皆目検討がつかないが」
「………っ!!」
アベルは悔しそうに唇を噛みしめる。レオンハルトの言葉に反論できないのだろう。
しかし窓ガラスを割っていないという彼の主張は正しいのだ。このまま黙っていろという自分と、レオンハルトを欺くつもりなのかという自分。両者がせめぎあって、ミモザは「あ、あの」と重い口を開いた。
「あの、あの窓ガラス……」
しかし皆まで言うことは叶わなかった。即座にレオンハルトの手が伸び、周りに見えないようにミモザの傷を確認するふりをしながら口を塞がれたからだ。目を白黒させるミモザに、彼は全て了解しているというようににやりと笑った。
その表情に、何も言われていないのに黙っていろと言われたように感じてミモザは口をつぐんだ。
「ああ、本当にすまなかった。痛むだろう。弟に代わって謝罪する」
ミモザはその言葉に無言でこくこくと頷くのがせいいっぱいだ。レオンハルトはそれに苦笑すると地面に転がったままだったランチボックスを手にして土を払い、ミモザへと差し出した。
「本当にすまなかった。彼らは俺が責任持って親の元へと連れて行き反省させよう。君にも謝罪をさせる」
そしてミモザの耳元へと口を寄せると周りには聞こえないように「ヘマをしたな」と囁いた。
「窓を割る必要はなかった。君は逃げるだけ亜鉛 の サプリで良かったんだ。俺以外目撃者がいなくて良かった。次からはもっとうまくやりなさい」
悪戯に成功した子どものように笑うレオンハルトに、ミモザは「お手数をおかけしました」と自分でもちょっとズレてるなと思う返答しかできなかった。
レオンハルトの目がおもしろそうに瞬いた。
。マカアントシアニンの効果アントシアニンの効果
レオンハルトからdha
レオンハルトから見て弟子であるミモザはバカである。
いや、決して頭が悪いわけではないポリ ペプチド。ないのだが、なんというか行動がバカだクロム。
(何をやっているんだ、一体)
窓からは爽やかな早朝の光が差し込んでいた。小鳥はピチュピチュとかなんか楽しそうに鳴いている。
実に麗しい朝の光景だ。
目の前にぶら下がる大量の謎の黒いぼんぼんと、それを亜鉛 サプリ脚立に座って黙々と量産する弟子の姿がなければの話である。
レオンハルトは自らの寝室の惨状を見てベットの中で盛大にため息をついた。
「何をやっているんだ、君は」
「あ、おはようございます」
師匠の目覚めに気づいた弟子は嬉しそうに目を細めて笑う。小首をかしげて振り返った拍子に髪が揺れて柔らかなハニーブロンドが陽の光を反射した。
その光景はたいそう良い。
見た目だけは一級品の弟子がとても美しいのは眼福で素晴らしいのであるが。
ゴーヤ チャンプルー「何を、やっているんだ、君は」
レオンハルトは再度ゆっくりと区切りながら弟子に問う。
それにああ、と軽くうなづくと彼女は実に真剣に自明の理を語るのがごとく堂々と告げた。
「おまじないです」
レオンハルトはすんでのところで舌打ちを飲み込んだ。
それなりに出来のいいはずの弟子はどうにもこの『おまじない』とやらに傾倒しており、時々こうしてレオンハルトには理解しがたい珍妙な行動にでる。
(業務に従事している間は問題ないのだが)
ため息と共に布団を避け、ベッドに腰掛けた。
彼女はレオンハルトの指示には忠実だ。修行だって真面目にこなす。しかしちょっと放っておくとアントシアニンの効果これである。
「今度は一体なんのおまじないだ」
「幸運のおまじないです」
「幸運?」
「はい」
美しい弟子は楚々と近づいてくるとレオンハルトの髪を丁寧にすきながら、本日の服を示してみせた。
向かって右側は私用の際に着る礼服、左側はいつもの正装である軍服である。
2つハンガーにかけて並べて提示されたそれを見て、今日は再び教会へ行かなくてはならないことを思い出しレオンハルトは向かって左側を無言で指で指し示す。それに彼女は軽くうなづくとその服を手に取り着替えを手伝い始めた。
問題ない。本当に、業務に従事している間は実に文句のつけようのない仕事っぷりである。
『おまじない』さえなければ。
こんな非合理的なことはやめろ、と一刀両断しようとしてレオンハルトは口を開き、
「レオン様の今日がきっと良い日でありますようにとクロムの効能思いまして」
すんでのところで口をつぐんだ。
これである。
これのせいで未だにレオンハルトは弟子の奇行をやめさせられないのであった。
ミモザはそんなレオンハルトの心中など察さずテキパキと準備を進めている。最後の仕上げにハンカチをそっとポケットへと入れられた。
「………」
レオンハルトは知っている。そのハンカチにもびっしりと『おまじない』の文言が刺繍されているのを。
もはやその犠牲者はレオンハルトの所有するハンカチの8割を超えていた。10割に達する日も近いに違いない。
(まぁ、誰が悪いかと言えば俺が悪い)
一言やめろと言えばやめるのだ、ミモザは。
ハンカチにしても一応刺繍をする際に報告は受けていた。その時に咎めなかったレオンハルトの責任である。
まぁ別に大して困ることもないし、と内心で言い訳をする。
せいぜいがハンカチを人に見られた際に気まずい程度のことである。
食事の支度をしに食堂へと足早に向かうミモザの後ろをゆっくりと歩きながら、レオンハルトは今日ゴーヤのハンカチを取り出して眺めた。
そこには古代語で『どうか風も波も日の光も、貴方に優しくありますように』という祝詞が丁寧に刺繍されていた。
教皇の執務室の窓からは柔らかな光が差し込んでいた。それは女神の描かれたステンドグラスを優しく照らし出し、色のついた光を地面へと映し出す。
「申し訳ありませんね、レオンハルト君。連日呼び出してしまいまして」
「いいえ」
レオンハルトは優しく微笑むオルタンシアに簡潔に首を横に振ると報告書を差し出した。彼はそれを受け取り中身をパラパラと見ると「確かに」と頷く。それは昨日のミモザが行った野良精霊退治の報告書であった。昨日教会を辞した後にわざわざ自宅まで伝令が来たのだ。いわく『報告書の提出を明日の昼までにして欲しい』と。
(まぁ、方便だろうな)
目的は別にあるのだろうとレオンハルトは察する。こんな報告書の提出など急ぐ理由が欠片もない。レオンハルトと2人きりで話したい用事があったのだろう。
レオンハルトとオルタンシアはそれなりに長い付き合いである。レオンハルトがまだ騎士ではなく精霊使いであった頃、その才能を見いだし騎士になるようにと勧めたのがオルタンシアなのだ。
興味がなさそうに、しかし一応用件を聞くために立ち去ることをせずその場に留まるレオンハルトに、彼は苦笑したポリ ペプチド。細いすみれ色の瞳がきゅっと更に細まる。
「そう嫌そうな顔をしないでください。まぁ怒られそうな気はしていますが」
「そんな、俺が貴方に怒ることなどありえません」
レオンハルトの優等生然とした返事にオルタンシアは気まずげに頬をかいた。
「これを見てもそう言えますか?」
どさどさどさ、と音を立てて机に分厚い冊子のようなものが積まれる。目線で中を確認してよいかを尋ねるとオルタンシアは「どうぞ」と手のひらを向けて促した。
レオンハルトは一番上に積まれた冊子を開ける。
すぐに閉じた。
一応他の用件も混ざっていないかと一縷の望みをかけて他の冊子の中身も一通り確認する。
「オルタンシア聖下」
「ふふふふ、いやぁ、申し訳ありません」
怒られそうなどと言っておきながら、その顔に浮かぶ笑みはどこか楽しげだ。
「お見合い、受けていただけませんか?」
「お断りします」
間髪入れない返答だった。そのままレオンハルトはすばやく身を翻す。
「では俺はこれで失礼します」
「いやいやいやいや、待って待って待って待って」
オルタンシアは慌てて身を乗り出すとレオンハルトの服の裾を掴んだ。
「頼みますよ、話だけ、話を聞くだけでいいですから」
「ひとまず聞きましょうか。どういった理由があって俺にこれを?」
オルタンシアは真面目な顔になった。そのまま深刻そうに手を組んで告げる。
「いやね、結婚をすることで君の生活にも張りとゆとりと充実感がー…、待ってクロムの効能待って待ってください、まだ帰らないで!」
レオンハルトはとりあえず足を止めると痛む頭を抑えてため息をついた。
その息は重々しい。
「そのような気遣いは不要です。ご存知でしょう。俺はそういったことが不得手だ」
「まぁそれは知っていますが、こういうのは慣れだと思うのですよ。それに正直、誰かを選ばねば今の面倒な状態はずっと続きますよ」
『面倒な状態』の心当たりに思い当たってレオンハルトは危うく舌打ちをしそうになる。自宅の執務室には貴族の令嬢からの縁談の打診や交流会の誘いが大量に積んであった。そのレオンハルトの反応にオルタンシアは苦笑する。
「君には貴族より平民の女性の方が合うと思うのです。ですので、教会騎士団の女性騎士はどうかと」
「………」
貴族がレオンハルトを取り込みたがっているように、教会側もレオンハルトを引き込みたがっている。正直レオンハルトはオルタンシアのことは仕事人として尊敬している。とても優秀な方だ。これまで色々と世話になったこともある。だから教会寄りのスタンスを取っているという部分もあるのだ。しかしそれとこの話は別である。
レオンハルトは、自身が誰かから愛されているという確信を得たことがない。
幼い頃に一度カーラからは愛されているのではと思ったことはあった。しかし彼女は結局自分と自分の息子のためにレオンハルトのことを切り捨てた。それを責めるつもりはない。実に適切な対応であったと思う。レオンハルトが逆の立場であったなら迷わずそうするだろう。しかし彼女とレオンハルトの関係性がその程度であったことは確かな事実である。
好意を伝えられたことはある。情熱的に求められたこ亜鉛 の サプリとも尊敬されたこともある。しかしそれは全てレオンハルトの持つ能力と地位、名声に対するものであって、レオンハルトというどうしようもない人間に対するものではなかった。
今回の釣り書きの女性達も同様だろう。もしかしたらレオンハルトがこういう人間性の持ち主であることを知らず、聖騎士として愛想良く振る舞っている時の姿しか知らない可能性もある。そんな人間が妻としてそばにいるなど全くもってぞっとしない話だった。
もしレオンハルトが怪我や病気で役立たずになった時、きっとそばには誰も残らないだろうとレオンハルトは確信している。それはしょうがないことだ。だってレオンハルトにはそういう人間関係しか築けないのだ。
人と関わるのは疲れる、相手の都合に合わせるのは時間がもったいない、腹を割って話すなど気持ちが悪い。
そんな人間を大切に思う人などいない。
(いや、もしかしたら)
彼女ならば違うだろうか。レオンハルトのことを好きと言った少女。泣きそうな顔で恩人だと言った。役に立ちたいと言い、いまだに挫けずレオンハルトについて来て、レオンハルトがどんな態度を取ろうが失望するそぶりを見せない彼女ならば。
レオンハルトはハンカチの入ったポケットを無意識に握りしめる。
彼女ならば、レオンハルトが役立たずになった後もそばに居続けてくれるだろうか?
(愚かな思考だ)
レオンハルトは自身のあまりにもらしくない考えに頭を振る。
「申し訳ありませんが、貴方の頼みでもこのような話は受けられません」
「……そうですか」
深く自分の思考へと潜り込むようにしながら少しうわの空でそう告げるレオンハルトのことを、オルタンシアは探るような冷静な眼差しで見つめていた。
。亜鉛マカdhadha epaアントシアニンの効果
(どうして、わたマカ サプリ
(どうして、わたしが……)
詰め所から出てステラはゴーヤ チャンプルー悲しげに目を伏せた。
対応した騎士からは厳重注意を受けて帰されたのだマカ と は。ステラがどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかい? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃマカ サプリなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れた顔をすると、「それとね」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
言い募ろうとするス亜鉛の効果テラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
「理由?」
彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若ゴーヤくて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
ゴーヤ「俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
ステゴーヤ チャンプルーラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
ステラは何も答えなかった。
。サプリメント マカdha epa dhaクロム